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薬とワクチンの違いを徹底解説します!

2020年07月05日

人類は数千年にわたり微生物との戦いを続けており、抗生物質が発見されるまでの間は病原菌が人間にとっての最大の敵でした。19世紀初頭にヨーロッパ諸国を征服したナポレオン率いるフランス軍も、敵国の兵士ではなくて細菌によって大敗したことがあります。1812年初旬にナポレオンは、ロシアを征服するために60万人以上の大軍を率いて進撃しました。ロシア軍は25万人でナポレオンの方が圧倒的に有利でしたが、モスクワの手前まで来て兵士の間でコロモジラミが流行しました。フランス軍の間でシラミによって致死率が3割の発疹チフスが流行し、20万人以上の兵士が死亡して遠征が失敗に終わりました。

ポリオや天然痘も、これまで多くの人命を奪ってきました。ポリオや天然痘の致死率は5割と非常に高く、古代から近世まで多くの人が命を落としました。20世紀に抗生物質(ペニシリン)が発見されるまでは、病原菌は人類にとって最大の敵でした。

感染症に罹ると治療薬として抗生物質や抗ウイルス薬などの治療薬が投与されますが、別の方法で感染症を防ぐ方法があります。伝染病の病原体に対処するためには、抗生物質や抗ウイルス薬などの治療薬で対処する方法とワクチンの2種類がありますが、両者は似て非なるものです。抗生物質とワクチンは、使用方法やメカニズムの点で大きな違いがあります。

病原体に感染する前にワクチン接種をすることで体に免疫を作らせておけば、細菌やウイルスに感染したり発症したりするのを防ぐことができます。抗生物質は感染や発症した後に体内の細菌を殺菌するために用いられますが、ワクチンは感染または発症する前に予防薬として投与します。

世界初のワクチン接種は、18世紀末のイギリスの医者であるエドワード・ジェンナーが発見した方法です。当時は天然痘で多くの人が命を落としていましたが、ジェンナーは牛痘という病気に罹ったことがある人は天然痘が発症しないことに気づきました。牛痘は牛痘ウイルス感染で発症する病気ですが、軽い水疱や丘疹程度ですぐに完治します。牛痘ウイルスと天然痘ウイルスは近縁種で、牛痘に罹ると天然痘の免疫を獲得することができます。天然痘を予防する目的で牛痘に感染させる方法が、世界初のワクチンです。

ワクチンは人体に影響がないように弱毒化された病原体や、細菌やウイルスの表面のタンパク質などが使用されます。治療薬とは違い、ワクチンには抗菌や抗ウイルス作用はありません。ワクチンを投与すると人間の免疫システムが、ウイルスや細菌を不活性化させるために使用する免疫を生成するため、病原体に感染するのを防ぐほか、重症化しないように予防することができます。ワクチンは予防薬なので、発症した後に投与しても効果がありません。病気を発症した後は、抗菌薬や抗ウイルス薬で病原体の増殖を防ぐ必要があります。